ICLとレーシックの違いを比較|どっちがおすすめ?

近年、角膜を削らない屈折矯正手術として「ICL(眼内コンタクトレンズ)」の需要が高まっています。
世界で100万眼以上の治療実績を持ち、国内でも多くの方がICLを受けられています。
一方、レーシックも20年以上の実績を誇る定番の視力矯正手術です。
- ICLとレーシックの根本的な違い
- 自分に適した手術を選ぶための判断基準
- それぞれの安全性とリスク・注意点
小林 一博 (日本眼科学会認定 眼科専門医)
川越ルミタス眼科 白内障と近視のクリニックの執刀医。
東京大学医学部附属病院や虎の門病院等の基幹病院にて、高度な眼科手術の研鑽を積んだスペシャリスト。ICL認定医として近視矯正から多焦点レンズを用いた白内障手術まで、精密な手技を要する眼内レンズ治療を専門としています。
科学的根拠に基づく、正しい医療情報を発信しています。
ICLとレーシックの違い

ICLとレーシックは、どちらも「眼鏡やコンタクトなしで見えるようにする」ことを目的とした視力矯正手術です。
しかし、その手術方法はまったく異なります。
一言で表すと、「目の中にレンズを入れるか(ICL)」「角膜をレーザーで削るか(レーシック)」の違いです。
どちらの手術も近視を改善できますが、得意とする近視の度数や、角膜の厚みなどの適応条件が異なります。そのため、「どちらが優れているか」という単純な比較ではなく、「自分の目の状態にどちらが合うか?」という視点で選ぶことが大切です。
| 手術内容 | 安全性 | 適応範囲 | 視力の安定性 | 可逆性 | 費用 |
|---|---|---|---|---|---|
| ICL | 角膜を削らず、体に優しいコラマー素材のレンズを使用。感染症(眼内炎)のリスクはあるが発生率は低い。 | 近視 -3.00D〜-18.00D。角膜が薄い方や強度近視でも適応可能な場合がある。 | 目の中にレンズを固定するため、視力が安定しやすく近視の戻りが少ない。 | 可能(レンズを取り出せば元の状態に近い形に戻せる) | 両眼 45万〜80万円程度 |
| レーシック | 20年以上の実績、世界4,000万件以上の症例。角膜表面の手術のため感染時の治療が比較的容易。 | 近視 -10.00D程度まで。角膜の厚みが十分ある人が対象。 | 翌日から視力回復を実感しやすいが、5〜10年で近視が戻る場合がある。 | 不可(角膜を削るため元には戻せない) | 両眼 20万〜40万円程度 |
ICL(眼内コンタクトレンズ)について

ICLとは「Implantable Contact Lens(インプランタブル・コンタクトレンズ)」の略で、目の中に小さなレンズを入れることで視力を回復させる手術です。
角膜を削らずに行うため、「永久コンタクトレンズ」とも呼ばれています。
これまで視力矯正といえばレーシックが代表的でしたが、近年は「角膜を傷つけない」「取り外しができる(元に戻せる)」「強い近視にも対応できる」といったICLの特長が注目され、人気が高まっています。
安全性・見え方の質の両面から注目を集めており、近年選ばれる方が増えています。
メリット・デメリット
ICL手術を検討するうえで、まずはメリットとデメリットをしっかり把握しておきましょう。
- 角膜を削らないため、視力が安定しやすく、近視の戻りが少ない。
- 強度近視や角膜が薄い方でも、手術が可能な場合がある
- 万が一のときはレンズを取り出すことで元に戻せる
- 見え方の質が高く、自然な視界を得やすい
- 角膜の神経を傷つけないため、術後にドライアイになりにくい
- 乱視にも対応できる
- レーシックより費用が高めになる
- レンズをオーダーメイドするため、手術までに時間がかかることがある
- 術後は定期的な通院や検診が必要となる
- ごくまれに感染症(術後眼内炎)などの合併症が起こる可能性がある
手術内容
ICL手術は、点眼麻酔(目薬の麻酔)を使って痛みを抑えた状態で行う日帰り手術です。角膜に約3mmのごく小さな切り込みを入れ、そこから折りたたんだ薄いレンズを目の中に挿入します。 レンズは目の中でゆっくりと広がり、虹彩(茶目の部分)と水晶体の間に固定されます。
切り込みは非常に小さいため縫合する必要はなく、時間の経過とともに自然にふさがっていきます。手術時間は片眼あたり数分、両眼でも10〜20分程度と短く、手術当日にご帰宅いただけます。
なお、ICL手術では、一人ひとりの目の形や大きさに合わせたオーダーメイドのレンズを使用します。
そのため、適応検査を行ってから、実際の手術日までにはレンズ作製の期間として一定の時間が必要となります。
手術の安全性
ICLに使用されるレンズは、コラマー(Collamer)と呼ばれる体に優しい素材でできています。
そのため、アレルギー反応が起きにくいことが確認されています。
日本国内では、厚生労働省の承認を受けたSTAAR Surgical社製のレンズが使用されています。手術は目の中で行うため、ごくまれに「眼内炎(がんないえん)=目の中の感染症」のリスクがありますが、発生率は非常に低いとされています。
清潔な手術環境と術後の目薬・検診など適切なケアを徹底することで、リスクを最小限に抑えることができます。
また、以前のICLでは白内障や緑内障の心配がありましたが、現在主流の「ホールICL(EVO ICL)」ではレンズ中央に約0.36mmの小さな孔(あな)が設けられ、目の中の水(房水)がスムーズに流れるように改良されました。
それにより、リスクが大幅に改善されています。ICL手術を受けるにあたっては、医師の技術・経験も重要なポイントであり、ICL認定医のもとで手術を受けることで、より高い安全性が期待できます。
手術の適応範囲
以下の条件を満たす方が、ICL手術の対象となります。
- 原則として21歳以上で、視力が安定している方
- 近視度数が-3.00D〜-18.00Dの範囲内の方
- 目の前房(角膜と水晶体の間の空間)が十分な深さを持っている方
- 重篤な眼の病気や全身疾患がない方
ICLの大きな魅力は、「レーシックでは受けられない」角膜が薄い方や強い近視の方でも手術が可能な場合が多い点です。
ただし、特定の眼疾患がある方などは適応外となることもあります。 実際に手術が可能かどうかは、眼科専門医による精密な適応検査でしっかり確認することが大切です。
視力の安定性
ICLは目の中にレンズを固定するため、角膜の形状そのものを変えるレーシックと比べて、術後の視力が安定しやすいとされています。近視が戻ることが少なく、長期にわたって良好な視力を維持できる方が多いです。
また、使用されるコラマー素材は非常に柔軟性が高く、通常の生活で割れたり変形したりする心配がほとんどありません。
ただし、乱視用レンズを使用している場合、強い衝撃を受けるとレンズが目の中で回転して乱視の軸がずれてしまうことがあります。その場合は、レンズを正しい位置に戻す処置が必要になることがあります。
また、近視度数の進行が続いている方は、術後も若干の近視の進行が起こることがある点も覚えておきましょう。
可逆性(元に戻せるか)
ICLのもっとも大きな特長のひとつが「可逆性がある」、すなわち元に戻せるという点です。
レーシックは角膜を削るため一度手術を受けると元には戻せませんが、ICLはレンズを眼内に入れるだけで角膜には大きな加工を加えません。
そのため、将来的に白内障手術が必要になった場合や、何らかの理由でレンズを取り出す必要が生じた場合でも、レンズを安全に摘出して元の目の状態に近い形に戻すことができます。
「もし手術の結果に満足できなかった場合はどうなるの?」と不安に感じている方にとって、この可逆性は大きな安心材料になるでしょう。
費用
ICL手術の費用は、医療機関によって異なりますが、両眼で45万円〜80万円程度が相場です。
費用に幅がある主な理由は以下の通りです。
- 患者さんの目に合わせたオーダーメイドレンズを使用するため、レンズ代が高額になる
- 使用するレンズの種類(乱視用・老眼用など)による価格差 がある
- 医師の技術料や、使用する検査・手術機器の違いがある
- 術後のアフターケア(検診・保証内容)の違いがある
ICLは自由診療のため健康保険は適用されませんが、医療費控除の対象となります。
確定申告を行うことで費用の一部が還付される場合があります。
また、多くのクリニックで医療ローンを利用した分割払いが可能なため、費用面の不安がある方はぜひ相談してみてください。
レーシックについて

レーシックは「Laser-Assisted In Situ Keratomileusis(レーザー角膜内切削矯正術)」の略で、エキシマレーザーを用いて角膜の形状を変えることで屈折力を調整し、視力を回復させる手術です。
日本では2000年に厚生労働省がエキシマレーザーの屈折矯正手術への適応を認可し、以来20年以上にわたって多くの方が受けてきた実績ある手術です。
世界累計4,000万件以上の症例数を持ち、視力矯正手術の中で、最も普及している治療法のひとつとされています。
「視力矯正手術=レーシック」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
近年はICLの普及が進んでいますが、レーシックも依然として多くのクリニックで行われており、軽度〜中程度の近視の方には有効な選択肢です。
メリット・デメリット
レーシック手術を検討するうえで、メリットとデメリットをしっかり確認しておきましょう。
- ICLと比べて費用が抑えられる
- 手術翌日から視力回復を実感しやすく、日常生活への復帰が早い
- 20年以上の実績と世界4,000万件以上の症例数があり、安全性が証明されている
- 手術時間が短く(両眼で15分程度)、身体的な負担が少ない
- 軽度〜中程度の近視の方には非常に有効
- 角膜を削るため、手術前の状態には戻せない
- 術後5〜10年で近視が戻る(視力が低下する)可能性がある
- 角膜が薄い方、強度近視の方は適応外となる場合がある
- 術後にドライアイの症状が出やすい
- 光の周りに輪がかかって見える「ハロー」や、光が滲んで見える「グレア」が起きることがある
手術内容
レーシック手術は、まず目薬の麻酔をして、目の表面の痛みを感じにくくした状態で始まります。 そのあと、専用のレーザーを使って、角膜の表面にごく薄い蓋(フラップ)を作ります。作った蓋をそっと開けると、角膜の内側の層が出てきます。
そこに「エキシマレーザー」と呼ばれるレーザーを照射して、角膜のカーブを整えることで、ピントが合いやすくなるようにします。
レーザー照射が終わったら、開いていた蓋を元の位置に戻します。 蓋は自然に密着するため、縫合する必要はありません。
手術時間は両眼で15分程度と非常に短く、手術当日中にご帰宅いただけます。多くの方は手術の翌日から視力の改善を実感され、翌日の検診で良好な視力が確認できることがほとんどです。
現在主流のレーシックでは、目がわずかに動いてもレーザーが自動で追いかけて照射位置を調整するシステムが使われており、より高い精度で角膜の形を整えることができます。
手術の安全性
レーシックは、これまでに世界中で多くの方が受けてきた、実績のある安全性の高い視力回復手術です。20年以上の歴史があり、日本でも広く行われています。手術のほとんどがコンピューターで自動制御されるため、医師の技術に頼りすぎず、正確で安定した手術が可能です。
また、レーシックは角膜(黒目の表面)で行う手術なので、万が一感染が起こった場合でも、眼の中の手術(ICLなど)に比べて治療や回復がしやすいという特徴があります。
ただし、以下のような合併症リスクがあることも覚えておく必要があります。
- 術後の近視の戻りや視力低下
- ドライアイ(多くは一時的です)
- 光がにじんで見えたり、夜間の光がまぶしく感じたりする ( ハロー・グレア)
- 角膜が弱くなって変形(ごく稀)
こうしたリスクを最小限にするため、手術前に精密検査を行います。
角膜の厚みや形状を詳しく検査し、慎重に判断することが重要なのです。
手術の適応範囲
以下の条件を満たす方が、レーシック手術の対象となります。
- 18歳以上で、視力(度数)が安定している方
- 角膜が十分な厚みを持っている方
- 近視度数が概ね-10.00D以内の方
- 重篤な眼の病気がない方
- 重篤な全身疾患(糖尿病・膠原病など)がない方
- 妊娠中・授乳中でない方
レーシックは角膜を削る手術のため、「削れる角膜の厚みが十分にあること」が大前提です。
矯正する度数が大きいほど削る量も増えるため、強度近視の方や角膜が薄い方では、必要な厚みを残せずに手術が受けられないケースがあります。
また、ドライアイが強い方も、術後に症状が悪化するリスクがあるため、注意が必要です。
視力の安定性
レーシックを受けた多くの方は、翌日から視力の変化を実感しています。手術後すぐに、日常生活に支障がない程度まで見えるようになることが多く、回復の早さは ICL と同じか、それ以上です。
ただし、長期的な安定性という点では、ICLに比べてやや課題があります。手術から5〜10年ほど経つと、一部の方で近視が少し戻ることがあります。
(「近視の戻り」と呼ばれる現象)
特に、手術前の近視が強かった方ほど戻りやすい傾向があります。
また、角膜を削る際に角膜内の神経が一時的に鈍くなるため、涙の分泌量が減ることによって、術後しばらくの間は目の乾き(ドライアイ)を感じることがあります。
ほとんどの場合は点眼薬で改善し、半年ほどで落ち着くことが多いですが、もともとドライアイのある方では少し長引くこともあります。
さらに、術後しばらくの間はハロー(光の周りに輪が見える)やグレア(光がにじんで見える)を感じる方もいます。これらは時間の経過とともに落ち着いてくることが多いですが、夜間の運転などに不快感を感じる場合があります。
可逆性(元に戻せるか)
レーシックは、角膜の表面を削って視力を矯正する手術です。このため、一度削った角膜を元の状態に戻すことはできません。これはレーシックの特徴であり、同時に注意しておくべきポイントのひとつです。
そのため、手術を受ける前に、手術内容や将来のリスクについて十分に理解し、納得した上で検討することが大切です。
まれに、手術後の見え方に満足できなかったり、将来的に別の目の治療が必要になった場合、選べる治療方法が限られることがあります。なお、術後に視力が下がってしまった場合でも、角膜に十分な厚みが残っていれば「追加照射(タッチアップ)」という再手術が可能なこともあります。
ただし、これはすべての方に行えるわけではないため、医師が慎重に判断します。
費用
レーシック手術の費用は、医療機関によって異なります。一般的には、両眼で20万円〜40万円ほどが目安です。ICLと比べると費用を大幅に抑えられるため、これはレーシックの大きなメリットのひとつといえます。
手術費用に差が出る主な理由には、次のようなものがあります。
- 使用するレーザー機器の種類や世代の違い
- 医師の技術料や検査体制の違い
- 術後のアフターケア内容(保証期間や追加照射の補償など)
レーシックはICLと同じく自由診療のため、健康保険の適用はありません。ただし、医療費控除の対象になります。
また、多くのクリニックでは医療ローンや分割払いの利用も可能ですので、費用の負担を軽くすることができます。
結局どっちがいいの?最終的な選び方

ICLとレーシックは、どちらも安全性が高く、実績のある視力回復手術です。
どちらが優れているかは一概には言えません。
「自分の目の状態」と「ライフスタイル・価値観」に合った方法を選ぶことが何より大切です。
以下の目安を参考に、自分に近いものを確認してみてください。
ICLが向いている方
- 近視度数が強い方
- 角膜が薄く、レーシックが難しいと言われたことがある方
- 「元に戻せる安心感」を重視したい方
- ドライアイが気になる方、もしくはドライアイになりやすい方
- 見え方の質やクリアさを重視したい方
- 費用よりも安全性・安定性を優先したい方
レーシックが向いている方
- 近視度数が比較的軽い方
- 角膜の厚みが十分にある方
- 費用をできるだけ抑えたい方
- できるだけ早く日常生活に戻りたい方
- 角膜を削ることに抵抗がない方
これらはあくまで一般的な目安です。
実際にどちらの手術が適しているのかは、専門医による精密検査とカウンセリングを受けて初めて分かります。「手術を検討しているけれど不安」「どちらが自分に合うかわからない」という方も、まずは一度ご相談ください。
私たちが、あなたの目にとって最適で、安心できる選択を一緒に考えていきます。
まとめ

ICLとレーシックは、どちらも安全性が高く、世界中で行われている信頼ある視力矯正手術です。どちらが優れているというよりも、目の状態や希望するライフスタイルによって向いている手術が異なります。
ICLは、強い近視や乱視のある方に適しており、手術後の視力が安定しやすく、長く良い見え方を保ちやすいのが魅力です。 レーシックは、比較的近視の度数が軽い方に向いており、回復が早く、すぐに日常生活に戻りやすい点がメリットです。
「自分にはどちらが合っているのだろう?」と迷われる方も多いですが、正確な判断には精密な検査と専門医の診断が欠かせません。
当院では、ICL・レーシックの両方について丁寧な検査とカウンセリングを行い、患者さまお一人おひとりの目の状態やライフスタイルに合わせて最適な治療法をご提案しています。
手術を検討されている方は、どうぞお気軽にご相談ください。
私たちと一緒に、あなたの目に合った「これからの見え方」を見つけていきましょう。
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川越ルミタス眼科 白内障と近視のクリニックの執刀医。
東京大学医学部附属病院や虎の門病院等の基幹病院にて、高度な眼科手術の研鑽を積んだスペシャリスト。ICL認定医として近視矯正から多焦点レンズを用いた白内障手術まで、精密な手技を要する眼内レンズ治療を専門としています。
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