【医師監修】ICLは何歳から?|ICLに年齢制限がある理由

ICL 年齢

ICL(アイシーエル)は、角膜を削らずに視力を矯正できる手術として注目されています。  ただし、ICLには適した年齢の目安があり、日本眼科学会屈折矯正手術ガイドラインでは原則21歳から45歳が推奨されています。

この記事では、ICLに年齢制限が設けられている理由や、適応年齢外の方に考えられる代替治療について、わかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • ICL手術を受けられる適応年齢の目安
  • 21歳未満や45歳以上で制限がかかる理由
  • ICLが受けられない場合の視力矯正手段

小林 一博 (日本眼科学会認定 眼科専門医)

川越ルミタス眼科 白内障と近視のクリニック

川越ルミタス眼科 白内障と近視のクリニックの執刀医。
東京大学医学部附属病院や虎の門病院等の基幹病院にて、高度な眼科手術の研鑽を積んだスペシャリスト。ICL認定医として近視矯正から多焦点レンズを用いた白内障手術まで、精密な手技を要する眼内レンズ治療を専門としています。
科学的根拠に基づく、正しい医療情報を発信しています。

ICLの適応年齢について

ICL(眼内コンタクトレンズ)は、目の中に小さな専用レンズを挿入して視力を矯正する手術です。  

安全性が高く、強度近視の方にも対応できる治療として注目されていますが、手術を受けるには適した年齢の目安があります。

一般的には、21歳から45歳前後がICLの適応とされており、これは目の成長や加齢による変化が関係しています。  

ただし、年齢はあくまで目安であり、実際の適応は術前の精密検査(適応検査)と医師の総合的な診断によって判断されます。こうした年齢の目安が設けられている理由を理解しておくことは、ICLを検討するうえで重要なポイントです。

 21歳未満が適応とならない理由

ICLの適応下限年齢が「原則21歳以上」とされている主な理由は、視力がまだ安定していない可能性が高いためです。  

人の目は成長期を通じて変化し続け、10代は特に近視が進みやすい時期です。CLは、その時点での度数に合わせてオーダーメイドでレンズを作製します。  そのため、手術後も近視の進行が続くと、矯正効果が合わなくなってしまうことがあります。

結果的に、数年後に再び視力が低下するリスクが生じてしまうのです。

一般的な目安として、過去1〜2年間で近視の度数変化が±0.5D(ジオプトリー)以内であることが、視力が安定している状態とされています。  この安定性は、年齢だけでなく、定期的な視力検査の記録から確認されます。

一部の施設では18歳以上から相談可能な場合もありますが、成長が完了し視力が安定していることが前提となります。10代のうちは焦らず、眼科で定期的に経過を確認しながら、視力が落ち着くのを待つことが長期的に良い結果につながります。

45歳くらいまでが推奨されている理由

ICLには明確な法律上の上限年齢はありませんが、45歳を過ぎると手術適応が慎重になる傾向があります。  

その理由は主に老眼(老視)の影響と、白内障リスクの増大の2点があげられます。

老眼(老視)の影響

人の目は40代を過ぎると水晶体の柔軟性が低下し、近くを見るためのピント調節力が衰えます。これが老眼です。  

近視の方は、眼鏡やコンタクトを外すと手元が見えやすいという特性があるため、老眼が進んでも実感しにくいことがあります。

しかし、ICLで近視を矯正すると、この「手元の見えやすさ」が失われ、手術後に急に近くが見えづらくなることがあります。  

ICL自体が老眼を進行させるわけではありませんが、近視の矯正によって老眼の症状が表面化するためです。  45歳以降でICLを検討する際は、術後に老眼鏡が必要となる可能性について、事前に医師から十分な説明を受けることが大切です。

白内障リスクの増大

もうひとつの理由が、白内障の発症リスクです。白内障とは、加齢により目の中の水晶体が白く濁り、視力が低下していく病気のことです。50代以降から増え始め、70代では多くの方に何らかの所見が認められるといわれています。

白内障が進行すると、濁った水晶体を取り出して人工の眼内レンズに置き換える白内障手術が必要になります。

すでにICLを挿入している場合、白内障手術の際にはICLを先に取り出す処置が必要になることがあるので、注意が必要です。

また、加齢とともに水晶体が厚くなると、ICLを挿入するスペース(前房深度)が手術前より狭くなってしまうことも。45歳以降では、こうした加齢による変化も踏まえ、術前検査でしっかり確認しておくことが大切です。

ICLの適応年齢外の場合どうしたらいいの?

「ICLを受けたいけれど、年齢や目の状態で適応外と言われてしまった…」そんな方も、どうか諦めないでください。

視力矯正や見え方を改善する方法は、ICLだけではありません。お一人おひとりの年齢や目の状態、生活スタイルに合わせて、一緒に最適な方法を考えていきます。

 21歳未満の方

若い世代は近視が進行しやすい時期のため、目への負担が少なく、度数の変化にも柔軟に対応できる方法を選ぶことが推奨されます。

メガネ・コンタクトレンズ

最も基本的な視力矯正方法であり、安全性が高く費用面でも負担が少ない選択肢です。

度数が変わってもレンズを作り替えるだけで対応できるため、視力が安定していない時期にはとくに適しています。  コンタクトレンズは裸眼に近い視野が得られる一方、毎日のケアや装用時間の管理が必要です。

学校生活やスポーツなど活動的なシーンではコンタクトレンズ、長時間使用や自宅ではメガネというように、シーン別の使い分けも有効です。  定期的な眼科受診により、目の健康を維持しながら適切な度数を保つことが大切です。

オルソケラトロジー

オルソケラトロジーは、就寝中に特殊な形状のハードコンタクトレンズを装用して、角膜の形を一時的に整え、日中は裸眼に近い状態で過ごせるようにする治療法です。  

近年では、小児や思春期の近視進行抑制に効果があるとして注目されており、学童期から取り入れるケースも増えています。手術を行わないため、目への負担が少なく、成長期の子どもにも比較的安全に使用できます。

また、装用を中止すれば角膜の形状は元に戻る点も安心です。

ただし、毎日のレンズ管理ケアと定期的な受診が必要で、角膜の形や度数によっては適応外となる場合もあります。  まずは眼科で適応検査を受けてみましょう。

45歳以上の方

40代後半以降は白内障など加齢による変化が現れやすく、見え方の悩みも多様化します。  老眼が始まる時期でもあり、近視だけでなく手元の見えにくさも視力矯正の選択に影響してきます。

ICLが適応外、または慎重な対応が必要と判断された場合でも、​​​​​​​​​​​​​​​​ライフスタイルや目の状態に合わせた複数の選択肢があります。

白内障手術(多焦点眼内レンズ)

白内障が進行している、または初期段階にある方には、ICLより白内障手術が適している場合があります。  

濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズに置き換える手術で、特に多焦点眼内レンズを使用すれば、遠くと近くの両方にピントを合わせることが可能です。これにより、近視・老眼・白内障をまとめて改善できるケースもあります。  

一方で、夜間の見え方にハロー・グレア(光のにじみ)が出やすいことや、費用が高額になる点は注意が必要です。

老眼用ICL(多焦点IPCL)

近年では、老眼と近視をまとめて改善できる「多焦点IPCL」という新しいタイプのICLも登場しています。遠く・手元・中間距離と、複数の距離にピントが合うように設計されており、「遠くも近くも見えるようになりたい」という方に向いています。

白内障がまだ進んでいない方や、メガネやコンタクトへの依存をできるだけ減らしたい方にとって、選択肢のひとつになるでしょう。

ただし、現時点では保険が使えない自由診療のため、費用は高めになります。

また、遠近両用メガネと同様に、最初は見え方に慣れが必要な場合もあります。すべての方が受けられるわけではなく、取り扱いのあるクリニックも限られています。

「老眼も一緒に治したい」とお考えの方は、まず適応検査を受けて、自分に合っているかどうかを医師と一緒に確認してみましょう。

老眼鏡

老眼が始まった方にとって、最もシンプルで安全な対処法が、老眼鏡です。

近くのものを見る際にのみ使用するため、普段の生活に大きな制限はなく、費用も比較的安価です。既製品の老眼鏡でも対応できる場合がありますが、左右の度数差や乱視がある場合は、眼科または眼鏡店でしっかりと検査を受けたうえで処方してもらうことをおすすめします。合っていない眼鏡を使い続けると、眼精疲労や頭痛の原因になることがあります。

近視がある方でメガネをすでに使用している場合は、遠距離用と近距離用の2本を使い分けるか、次に紹介する遠近両用タイプの検討もひとつの方法です。

遠近両用コンタクトレンズ

1枚のレンズで手元から遠くまでカバーできる遠近両用コンタクトレンズは、老眼が始まってもコンタクトを使い続けたい方にとって、心強い選択肢のひとつです。

ソフトタイプとハードタイプがあり、それぞれ見え方の特性が異なるため、自分の目の状態や生活スタイルに合ったタイプを選ぶことが大切です。近年は使い捨てタイプのラインナップも充実しており、衛生面でも安心して使いやすくなっています。

ただし、コンタクトレンズは目に直接触れるものだからこそ、定期的な眼科受診と正しいケアが欠かせません。ドライアイや目のトラブルが気になる方は、自己判断で選ばず、まずは眼科に相談してから選ぶようにしましょう。

 まとめ

ICLの適応年齢はおおむね21歳から45歳が目安とされています。  若すぎる場合は視力がまだ安定していないことが多く、45歳を超えると老眼や白内障など加齢による変化も考慮する必要があります。

「年齢的に難しいかも…」と感じている方も、諦める必要はありません。

なぜなら、オルソケラトロジーや多焦点眼内レンズなど、目の状態やライフステージに応じた様々な選択肢があるからです。ICL手術を検討されている方は、まずはお気軽に眼科専門医へご相談ください。

あなたに合った最適な方法を、一緒に探していきます。

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この記事の監修者
川越ルミタス眼科 白内障と近視のクリニック

川越ルミタス眼科 近視と白内障クリニック

院長 小林 一博

川越ルミタス眼科 白内障と近視のクリニックの執刀医。
東京大学医学部附属病院や虎の門病院等の基幹病院にて、高度な眼科手術の研鑽を積んだスペシャリスト。ICL認定医として近視矯正から多焦点レンズを用いた白内障手術まで、精密な手技を要する眼内レンズ治療を専門としています。
科学的根拠に基づく、正しい医療情報を発信しています。

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