【専門医監修】白内障になりやすい人・発症率を徹底解説|6つのリスク因子と予防法

「最近、目がかすむ」「光がまぶしく感じる」そんな変化に心当たりはありませんか?
白内障は加齢とともに誰にでも起こりうる病気です。
自分のリスクを知り、早めの受診や対策につなげましょう。
小林 一博 (日本眼科学会認定 眼科専門医)
川越ルミタス眼科 白内障と近視のクリニックの執刀医。
東京大学医学部附属病院や虎の門病院等の基幹病院にて、高度な眼科手術の研鑽を積んだスペシャリスト。ICL認定医として近視矯正から多焦点レンズを用いた白内障手術まで、精密な手技を要する眼内レンズ治療を専門としています。
科学的根拠に基づく、正しい医療情報を発信しています。
白内障の発生率は?年齢別に見る発症リスクについて

白内障は、加齢とともに増加することが知られています。
年齢が上がるにつれて水晶体に濁りなどの変化が見られる方が増え、70代以降では多くの方に何らかの症状がみられるとされています。
個人差はありますが、40代頃から目のレンズ(水晶体)にわずかな濁りが生じるなどの変化がみられることもあります。
40代の発症率
40代では自覚症状が少ない場合もありますが、一部の方に初期の変化がみられることがあります。
見えにくさを感じた場合は、早めの受診が安心です。
50代の発症率
50代になると、白内障発症率は約40〜50%程度とされる報告もあります。
この年代から症状が徐々に進行するケースもあるため、見え方に変化を感じた場合や、定期的な眼科検診を受けることが推奨されます。
60代、70代、80代の発症率
60代では約70〜80%、70代では約80〜90%とされるデータもあり、加齢とともに有病率は高くなる傾向があります。
80代では多くの方に何らかの白内障の症状がみられるとされています。
ただし、視力への影響の程度には個人差があり、所見があっても日常生活に支障がない場合は経過観察となることもあります。
そもそも白内障とは?正しく理解しておこう

白内障は年齢とともに増える身近な目の病気です。
症状や仕組みを正しく理解することで、不安の軽減や早期対応につながります。
白内障は目の水晶体が濁る病気
白内障とは、目の中にある「水晶体」と呼ばれるレンズの役割を持つ組織が濁ることで、視界がかすんだりぼやけたりする病気です。水晶体は本来透明で、外からの光を網膜へ届ける働きをしています。
ところが加齢や紫外線などの影響で、水晶体を構成するたんぱく質が変性・凝集すると、レンズが曇ったような状態になります。
カメラのレンズにたとえると、レンズ自体が白く汚れてしまった状態です。どれだけ目を細めても、光の量を調整しても、レンズが濁っている限りはっきりと見ることが難しくなります。
白内障は40代以下でも発症することがある
白内障は高齢者だけの病気ではありません。紫外線への強い暴露、ステロイド薬の長期服用、糖尿病などの影響により、40代以下の比較的若い年代で発症する可能性があるとされています。
また、生まれつき水晶体に異常がある「先天性白内障」も存在します。
「自分はまだ若いから大丈夫」と受診を先延ばしにすることで、早期発見の機会を逃してしまうケースもあります。年齢に関わらず、気になる症状があれば眼科を受診することが大切です。
白内障は怖くない、ただし放置は禁物
白内障と診断されても、必ずしもすぐに手術が必要というわけではありません。
見え方や生活への影響に応じて、進行を緩やかにすることを目的として点眼薬が用いられる場合や、定期的な経過観察で対応することもあります。
ただし、症状が進行すると視力低下が進むほか、まれに緑内障などを併発する可能性もあるため、適切な時期に治療を検討することが重要です。
白内障になりやすい人の6つの特徴とリスク因子

白内障の発症に関わるとされている主なリスク因子は、以下の6つです。
① 加齢・年齢
② 紫外線を多く浴びる生活をしている
③ 糖尿病・高血圧などの持病がある
④ ステロイド薬を長期服用している
⑤ 喫煙・飲酒習慣がある
⑥ 遺伝・家族歴がある
①加齢・年齢によるリスク
白内障の代表的なリスク因子のひとつが「加齢」とされています。
前述のとおり、報告によって数値には幅がありますが40代で約10〜20%、50代で約40〜50%、70代以降では80〜90%以上の方に白内障の症状が認められるとされています。水晶体のたんぱく質は、長年にわたって紫外線や酸化ストレスにさらされ続けることで、少しずつ変性が蓄積されていきます。
加齢による変化を完全に防ぐことはできませんが、生活習慣の見直しによって進行を遅らせられる可能性があるとされています。
「年齢の影響だから仕方ない」と感じる方もいますが、定期的な眼科検診で変化に早く気づける場合があります。
②紫外線を多く浴びる生活をしている人
紫外線(UV)は、白内障の発症リスクを高める要因のひとつとされています。
農業・建設業・漁業など屋外での労働が多い方や、スキー・マリンスポーツなどのアウトドア活動を日常的に楽しむ方は、水晶体が紫外線にさらされる時間が長くなります。
「曇りの日は大丈夫」と思いがちですが、曇りの日や日陰でも紫外線は降り注いでいます。
UVカット機能付きのサングラスや帽子を活用して、日常的に目を守る習慣をつけることが、予防の観点から重要とされています。
③糖尿病・高血圧などの持病がある人
糖尿病は、白内障の発症リスクを高める全身疾患のひとつとして指摘されています。
血糖値が高い状態が続くと、水晶体内にソルビトールという物質が蓄積し、濁りが生じやすくなると考えられています。
糖尿病のある方では、発症年齢が早まる傾向も指摘されています。高血圧についても関連が指摘されていますが、糖尿病ほど明確な関連は示されていないとされています。
持病のある方は、全身の健康管理とあわせて定期的な眼科受診を心がけることが大切です。
④ステロイド薬を長期服用している人
喘息・アトピー性皮膚炎・リウマチなどの治療でステロイド薬(副腎皮質ステロイド)を長期にわたって服用している方は、白内障のリスクが高まるとされています。
ステロイドは体内の炎症を抑える効果がある一方で、水晶体のたんぱく質に影響を与える可能性があると考えられています。
点眼薬・内服薬・吸入薬など、いずれの剤形においてもリスクが報告されているため、長期使用中の方は担当医や眼科医に相談することが推奨されています。自己判断で服用を中止することは危険なため、必ず医師の指示に従ってください。
⑤喫煙・飲酒習慣がある人
喫煙は白内障のリスクを高める要因のひとつとされています。たばこに含まれる有害物質は、酸化ストレスを増加させ、水晶体に影響を与える可能性があると考えられています。
飲酒については、過度な飲酒習慣が白内障のリスクと関連する可能性が指摘されていますが、一定した見解は得られていません。
いずれにしても、禁煙や節度ある飲酒は全身の健康維持の観点からも重要です。
⑥遺伝・家族歴がある人
家族に白内障の方が多い場合、遺伝的な体質が影響している可能性があるとされています。白内障そのものが直接遺伝するわけではありませんが、水晶体のたんぱく質の変性しやすさや、酸化ストレスへの感受性などに遺伝的な個人差があると考えられています。
「親が白内障だった」「祖父母が早い時期に手術をした」という方は、自分も発症しやすい可能性を念頭に置いて、早めに眼科受診を検討することが大切です。
自分のリスクを確認するセルフチェックリスト
以下の項目で、自分に当てはまるものにチェックを入れてみましょう。
□ 50歳以上である
□ 屋外での仕事や活動が多く、日常的に日差しを浴びる機会が多い
□ サングラスをほとんど使用しない
□ 糖尿病・高血圧などの持病がある、または治療中である
□ ステロイド薬(内服・点眼・吸入)を長期で使用している
□ 現在喫煙している、またはこれまでに長期間喫煙していた
□ 日常的にお酒を飲む習慣がある
□ 親・兄弟など家族に白内障になった人がいる
当てはまる数でリスクレベルを把握しよう

チェックリストで当てはまった数をもとに、ご自身のリスクレベルを確認してみてください。
数が多いほど複数のリスク因子が重なっている状態です。あくまでも目安ですが、受診や生活習慣の見直しを検討するきっかけにしてみましょう。
チェック結果別のアドバイス
・0〜2個:リスクは比較的低い
現時点では白内障の主なリスク因子が少ない状態です。
ただし、加齢は白内障の発症に関わる主要な要因とされています。50代以降は定期的な眼科検診を習慣にすることで、変化を早期に把握できます。引き続き、紫外線対策や栄養バランスのよい食生活を意識しましょう。
・3〜5個:いくつかのリスク因子がある
複数のリスク因子が重なっている状態です。
自覚症状がなくても、一度眼科で検診を受けることをおすすめします。白内障は早期に状態を確認しておくことで、症状に応じた対応を選択しやすくなります。生活習慣の見直しもあわせて行うことが大切です。
・6個以上:リスクが高い状態
多くのリスク因子が重なっている状態であり、白内障の発症リスクが高いと考えられます。
自覚症状がない場合でも、一度眼科で検査を受けることを検討しましょう。加齢による白内障の発症を完全に防ぐことは難しいとされていますが、生活習慣の見直しによって発症や進行のリスクを下げられる可能性があります。ご自身の生活の中で、無理のない範囲から取り入れてみましょう。
白内障は予防できるのか
UVカットで目を紫外線から守る
紫外線対策は、白内障の発症や進行のリスクを下げる可能性があるとされています。
外出時にはUVカット機能付きのサングラスや帽子を着用する習慣をつけましょう。サングラスは、色の濃さよりもUVカット率を確認することが大切です。
抗酸化栄養素(ビタミンC・E・ルテイン)を意識して摂る
水晶体の酸化を抑えるとされる抗酸化栄養素を積極的に摂ることも、白内障予防の観点から注目されています。
- ビタミンC:ブロッコリー・パプリカ・キウイなどに多く含まれます
- ビタミンE:アーモンド・かぼちゃ・アボカドなどに多く含まれます
- ルテイン:ほうれん草・ケール・卵黄などに多く含まれます
食事だけで十分に摂取しにくい場合は、サプリメントで補う方法もあります。
ただし、過剰摂取には注意が必要です。摂取量の目安については、医師や薬剤師に確認することをおすすめします。
禁煙と血糖コントロールも重要
喫煙は白内障リスクを高める要因のひとつです。
禁煙することで、水晶体への酸化ストレスを軽減できる可能性があるとされています。禁煙外来の活用も選択肢のひとつです。
また、糖尿病のある方は血糖値のコントロールが白内障の進行抑制にもつながるとされています。内科・眼科の両方で定期的に診ていただきながら、全身の健康管理を続けることが大切です。
定期的な眼科検診で早期発見を
白内障は、初期段階では自覚症状がほとんどない場合があります。定期的な眼科検診を受けることで、症状が軽いうちに発見し、適切なタイミングで対策を取ることが可能になります。
特に50歳を過ぎたら、年に1回程度の眼科検診を習慣にすることが推奨されています。「見えにくい気がする」程度の変化でも、早めに受診をしましょう。
こんな症状があれば眼科へ

以下のような症状がある場合は、早めの眼科受診を検討しましょう。
- 視界が全体的にかすんでいる、もやがかかったように見える
- 光がまぶしく感じる、光の周りにハロー(光輪)が見える
- 眼鏡やコンタクトの度数が合わなくなってきた
- 暗い場所での見えにくさが増した
- 片目で見ると物が二重に見える
これらの症状があっても、「老眼かもしれない」「疲れ目かな」と自己判断して放置してしまう方も少なくありません。
しかし、実際には白内障が進行している可能性もあるため、気になる変化があれば早めに確認することが大切です。眼科ではまず視力検査を行い、その後、細隙灯顕微鏡という専用の機器で水晶体の状態を詳しく観察します。必要に応じて、眼底検査などを追加する場合もありますが、いずれも強い痛みを伴う検査ではありません。
症状や見え方について丁寧に確認しながら進めていきますので、初めての受診でもご安心ください。不安な点があれば、遠慮なくご相談いただけます。
まとめ

白内障は、加齢に加えて紫外線や生活習慣、持病などが重なることで発症しやすくなるとされており、誰にでも起こりうる身近な目の病気です。
見えにくさやまぶしさなど、気になる変化がある場合は、早めに眼科で相談することが大切です。
よくある質問
白内障は何歳から注意すべき?
40代から変化がみられることもあり、50代で発症率は約40〜50%とされます。年齢に関わらず気になる症状があれば受診を。
白内障は予防できますか?
完全には防げませんが、UVカット・抗酸化栄養素の摂取・禁煙・血糖コントロールなどでリスクを下げられる可能性があります。
セルフチェックで多く当てはまったら手術必要?
すぐ手術が必要とは限りません。点眼薬での経過観察となる場合もあり、まずは眼科で相談を。
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院長 小林 一博
川越ルミタス眼科 白内障と近視のクリニックの執刀医。
東京大学医学部附属病院や虎の門病院等の基幹病院にて、高度な眼科手術の研鑽を積んだスペシャリスト。ICL認定医として近視矯正から多焦点レンズを用いた白内障手術まで、精密な手技を要する眼内レンズ治療を専門としています。
科学的根拠に基づく、正しい医療情報を発信しています。
